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長引く咳の原因①~感染症~

[2026.05.24]

呼吸器内科に来られる患者さんで、最も多い症状はおそらく「長引く咳」と思われます。

数日であれば、風邪かな、花粉症かな、と考えると思いますが、数週、数か月続いた場合は、心配になりますよね。

今日から何度かに分けて、長引く咳の原因を書いていこうと思います。もしもご自身や身近な方にあてはまる場合は、ご相談いただけたらと思います。

 

もっとも多い原因は感染症です。

感染症には、主に原因菌に応じて「細菌性orウィルス性肺炎/気管支炎」「結核」「非結核性抗酸菌症」などです。

 

・細菌性orウィルス性肺炎/気管支炎

どんな病気?

肺に細菌やウイルスが感染し、炎症を起こした状態です。

高齢者だけでなく、若い方でも発症します。
「風邪だと思っていたら肺炎だった」ということも珍しくありません。

症状

  • 咳
  • 痰
  • 発熱
  • 息切れ
  • 胸痛
  • 倦怠感

特に、

  • 痰が増える
  • 黄色や緑色の痰
  • 深呼吸で胸が痛い
  • 階段で苦しい

などは肺炎/気管支炎を疑う症状です。

経過

通常の風邪は数日〜1週間程度で改善することが多いですが、

  • 熱が長引く
  • 咳だけ悪化する
  • 一度よくなった後に再悪化する

場合は肺炎/気管支炎の可能性があります。

高齢者では熱が目立たず、
「なんとなく元気がない」
だけの場合もあります。

検査

  • 胸部レントゲン
  • 胸部CT
  • 血液検査

肺炎/気管支炎は、レントゲンで分かりにくいこともあり、CTで初めて見つかることもあります。

 

最近東京都で流行した原因(2025〜2026年)

東京都感染症情報センターでは、2025年後半〜2026年にかけて、

  • 百日咳
  • マイコプラズマ肺炎
  • RSウイルス
  • 新型コロナ
  • インフルエンザ

などの流行が報告されています。

百日咳

2025年には大きな流行があり、2026年現在でも患者数増加が続いています。

特徴は、

  • 激しい発作性の咳(咳が出ないときもあるが、出た時がなかなか止まらない)
  • 夜間の咳
  • 咳込みで吐きそうになる
  • 長期間続く乾いた咳
  • 家庭内に同症状方がいる

です。

大人では咳と咳の間に、十分な呼吸ができず、「ヒュー」という吸うときの音が出るときがあります。

マイコプラズマ

2025年秋〜冬にかけて増加が報告されました。

特徴は、

  • 乾いた咳
  • 微熱
  • 若年者に多い
  • 咳だけ長引く

ことです。

肺炎を伴うこともあります。

RSウイルス

乳幼児の感染症として有名ですが、大人でも咳が長引く原因になります。

高齢者や喘息・COPD患者では悪化の原因になることがあります。

新型コロナ・インフルエンザ

急性期改善後も、
数週間咳だけ残ることがあります。

感染後咳嗽や気道過敏が関与していると考えられています。

治療

原因によって異なります。

  • 咳止め
  • 去痰薬
  • 吸入薬
  • 抗菌薬(必要時)

単なる“風邪薬”では改善しないことも多く、細菌性の場合は抗生剤が必要です。

結核

どんな病気?

結核菌による感染症です。抗酸菌の一種です(後述)。

「昔の病気」というイメージがありますが、
現在も日本では患者さんがいます。

東京都は全国でも患者数が多い地域です。

症状

  • 長引く咳
  • 痰
  • 血痰
  • 微熱
  • 体重減少
  • 寝汗

2週間以上続く咳は注意が必要です。

経過

ゆっくり進行することが多く、

  • 数週間〜数か月咳が続く
  • 市販薬で改善しない

という経過を取ります。

検査

  • 胸部レントゲン
  • 胸部CT
  • 喀痰検査
  • PCR検査
  • 血液検査

CTで初めて異常が分かることもあります。

治療

複数の抗結核薬を長期間使用します。

一般的には6か月以上の治療が必要です。

非結核性抗酸菌症(NTM症)

どんな病気?

結核菌以外の抗酸菌による感染症です。

その昔、菌の正体を突き止めるために、染色しました。その際に、酸で脱色されない菌がいることに気づきました。それが抗酸菌です。主に、結核菌とそれ以外(非結核性抗酸菌症)があります。

特に、非結核性抗酸菌の中でも、Mycobacterium aviumやintracellularといった菌による感染が多くみられます(MAC症)

中高年女性に多い病気ですが、
男性にも起こります。

症状

  • 長引く咳
  • 痰
  • 血痰
  • 疲れやすさ

比較的ゆっくり進行します。

経過

数か月〜数年かけて進行することがあります。

「ずっと咳が続いている」
「毎年気管支炎と言われる」

という方の中に隠れていることがあります。

検査

  • 胸部CT
  • 喀痰検査
  • 抗酸菌培養

レントゲンでは分かりにくく、
CTで特徴的な陰影が見つかることがあります。

治療

症状や進行度によって、

  • 経過観察
  • 抗菌薬治療

を選択します。

治療期間は長期になることがあります。


長引く咳は「ただの風邪」ではなく、他の感染症の可能性があります。

特に、

  • 2週間以上続く咳
  • 痰が多い
  • 血痰
  • 息苦しい
  • 発熱が続く
  • 体重減少

がある場合は、
肺炎・結核・非結核性抗酸菌症などの検索が重要です。

長引く咳でお困りの際は、一度ご相談ください。

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